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新型コロナ対策の三種の神器とは、著名な医学雑誌掲載論文の結論

新型コロナ対策の効果は? メタ分析の結果が発表

新型コロナウィルスにどのように立ち向かうべきか? 決定的な特効薬やワクチンがまだ実現していない現状では、100年前のスペイン風邪の世界的な流行と同様な方法しか無いのが、現状だろう。そこで、

 医学の研究誌として有名な「The Lancet」に注目すべきと言うか、やっぱり、という論文が掲載されました。以下のURLからも無料でダウンロードできます。

Chu, D. K., Akl, E. A., Duda, S., Solo, K., Yaacoub, S., Schünemann, H. J., Chu, D. K., Akl, E. A., El-harakeh, A., Bognanni, A., Lotfi, T., Loeb, M., Hajizadeh, A., Bak, A., Izcovich, A., Cuello-Garcia, C. A., Chen, C., Harris, D. J., Borowiack, E., … Schünemann, H. J. (2020). Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: A systematic review and meta-analysis. The Lancet,. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31142-9

これは、数百の論文から厳選した論文をさらに統計的に分析し、そこから共通して見られる、しかも確度の高い結論を導き出そうとするメタ分析という手法(統計パッケージSTATAでも利用できます)をつかって、新型コロナウィルス対策として何が重要なのかを見つけ出そうとしたものです。下の図がその結論(日本語の説明を加えておきました)なのですが、


マスクをすること、適切な社会的距離を保つこと、目の防護シールドをつけることは他感染者確率を減らすに有効であることを示しています。もし、そうしたことをしないと感染確率が、そうでない場合に比較して相当大きくなることをしめしています。

 つまり、マスクをして、少し人と離れて、防護シールドをつけて外出すれば人への感染は防げるという、日本人にとっては、常識?が分かったわけです。
 ただし、防護シールドをつけるのは大変ですし、そもそも日本ではどこで売っているのでしょうね。
 私は花粉症がひどく、6月のいまになって、目が痒くなったり、くしゃみがでます(この御時世外でくしゃみをするとすごく嫌がれます)。それなので、花粉症対策のメガネをしています。だいぶ前に眼鏡の専門店で買ったものを使っていたのですが、100円ショップでもほぼ同じものが買えることがわかったので、外出用のかばんやバッグの全てにそれを入れています。忘れて外出しても大丈夫なように。

 つまり、距離、花粉症用メガネが三種の神器になっているわけです。

ワクチンが開発されるまでは頑張りましょう。

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