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なぜSDGsはコロナ感染症を見逃したのか?

SDGsはインフルエンザ・パンデミックリスクを無視していた。


 SDGsは、ちょっと前、つまりコロナショックが起きる前までは、よく議論された話題(バズワード)であった。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略である。SDGsは、われわれが直面する課題を取り上げ、それに対する解決策を提示し、国際的な協調を図るものであったはずである。安倍内閣も、その天敵であるはずの朝日新聞も、SDGsを肯定し、強調してきたた。言い換えれば、誰もが認め、取り組むべき課題(アジェンダ)であったはずである。

SDGs(持続可能な開発目標)は17の目標(Goals)と、その下に位置づけられ。目標を細分化、具体化した169の「ターゲット」から成り立っている。

われわれが直面しているコロナショックは「持続可能性」を阻む最大の危機をもたらしている。それにも関わらず、SDGsの目標とターゲットに感染症の危機についてほとんど触れられいない。わずかに、17の目標中の3番目

「すべての人に健康と福祉を」

の下にある9つのターゲットの3番目に、つまり、ターゲット「3.3」に

「2030年までに、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する。」

とあるだけである。ここで「インフルエンザ」については全く言及されていない。
明らかに、インフルエンザリスクについては注目していなかったことわかる。

SDGsの前身目標:MGDsではどうだったのか?


この点は、SDGsだけに限定した問題ではない。実は、SDGsは、2030年度を最終目標とする国連による多国間の連携のもと、達成すべき社会目標であるが、その前身として、2015年を目標とし、2000年にスタートしたMDGs (ミレニアム開発目標 Millennium Development Goals)を引き継ぐものであった。MDGsでは、8つの目標があげられており、その目標6は、

「HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止」

であり、その下に、3つのターゲットとして

ターゲット6.A  2015年までに、HIV/エイズのまん延を阻止し、その後、減少させる。
ターゲット6.B  010年までに、必要とするすべての人々は誰もがHIV/エイズの治療を受けられるようにする。
ターゲット6.C  2015年までに、マラリアその他の主要な疾病の発生を阻止し、その後、発生率を下げる。

とされていた。ここでもインフルエンザという感染症については具体的に言及されていない。問題なのは、「感染症リスク」が、SDGsでは、17の目標から外され、169のターゲットの一つに格下げされていたことである。

国連、そしてWHOは何を考えていたのか? 今後何をすべきなのか?

国連1945年に創立され、75年の歴史をもつ重要な国際組織である。その間に

1957年のアジア風邪、
1968年の香港風邪(H3N2亜型)、
2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、
2009年の新型インフルエンザ(豚インフルエンザ、H1N1亜型インフルエンザ)、
2012年 MERS(中東呼吸器症候群)

というグローバルなパンデミック感染症リスクを経験してきた。
それにも関わらず、MDGs、SDGs目標でインフルエンザ感染症リスクを無視していきたのでは何故なのだろうか?

こうした姿勢が、今回のリスクに対しての対応置いて、様々な欠陥を指摘されている、
国連のもとにある重要な組織であるWHOの姿勢にも影響しているのではないだろうか?

少なくとも、SDGsの3.3は、

「2030年までに、パンデミックインフルエンザ、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する。」

と修正すべきであろうし、必要ならば、18番目の目標として、

「2030年までに、パンデミックインフルエンザを根絶する」

とすべきかもしれない。

なぜSDGsはコロナ(インフルエンザ)によるパンデミックリスクを無視したのか?

「べき論」を展開する前に、重要なことは、国際政治や政策科学の分野で、国連やWHOは、第2次大戦後繰り返し生じたパンデミック、インフルエンザリスクにもかかわらず、これを、重要な政策課題としていなかったのか? 明らかにすべきであろう。そうでなければ、これからも同様なことは繰り返し生じることは明らかである。

考えられる理由としては


1)「エイズ、結核、マラリアも今の時点では「先進国」の課題ではない」


と考えたらのだろう。たしかに、此等の感染症は、第2次大戦後の僅かな期間においては、先進国においても重要な疾病であったが、MDGsが計画された時点で必要なワクチンや対症療法となる薬の開発はすでに終わっていた。

だから、ワクチンや薬品が必要なのは、発展途上国である、という認識だったのだろう。MDGsもSDGsも特定の国だけが対応すべき目標ではなく、グローバルな課題とすべきだからである。

しかし、その点は認めても、今の段階では、新型コロナウィルスは、先進国からアフリカなどの発展途上国に蔓延しつつある。そうした点をみても、SDGsは、インフルエンザの問題を見逃すべきではなかったと思う。

2)SDGsは2015年9月の国連サミットで採択され

17の目標と169のターゲットからなる。これだけ多くのというか、あまりにも多くの政策課題が挙げられていると、人類が当面する全てを網羅したと思いこんでしまうことも1つの原因かもしれない。

3) 次のようなコメントが寄せられた


「WHOが2015年に採択されたSDGs目標3に関わっていることは、その職務からしても当然だ。しかしこの間のWHOの事務局長は、中国出身のマーガレット・チャン博士(それ以前はWHO事務局長補(感染症担当)で2007年1月から2017年6月までの長期にわたり事務局長を務めた)であった。そのことが影響しているのではないか?」 

私の考えは、その様な憶測が、中国の強力な後押しでWHO事務局長になったテドロス事務局長の発言とうから推測できるかもしれないが、SDGsのゴールとターゲットの決定過程がどうであったのかの検証なしに判断することはできないとおもう。

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  • サブプライム自動車ローンが爆発する
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