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(直近の結果を示します) やっぱり現金だ! 現預金M1が急激に増加している

「Cash is King, Cash Flow is Queen」で述べたように、危機に直面したらとにかく現金が一番大事だ。

アメリカで恐ろしい勢いでM1(現金預金)が増えている。11月になってもその勢いは少しへったもののすう勢としては変わらない。
以下の図は季節調整済みの週次のM1推移であるが、2月24日時点で4、000億弗だったのが、4月13日には約4,700億ドル(日本の国家予算(100兆円)にせまる金額)数字になっている。その後の数値をみると、やや勢いをげんじたものの、傾向としては変わらない。第3何の影響はこれから生じるだろろう。

M1という流動性の尺度は、現金あるいはそれとほぼ同じものとしての預金の合計である。アメリカのM1の週次統計の、2020 年11月日から遡る直近1年間の週次データで確認してみよう。

Board of Governors of the Federal Reserve System (US), M1 Money Stock [M1]


これを見ると、今月の2月24日には約4,000億ドルであったのが、4月13日には約4,700億ドルへの急激な増加をしめしている。7兆円あまりの急激な増加である。これは下のグラフをみてもわかるように1975年以来の数値をみても見ることのできなかった数値である。



アメリカの家計や企業は、リーマンショック(一番右の縦の網)以来、現金を溜め込んで来たことがわかるが、それでも一番右端の急激な増加はかってないことである。

この45年間で、リーマンショックの時ですらなかった増加である。アメリカ政府がばらまいたお金をみんなつかわないでためこんでいるのだろう。まさにコーポレート・ファイナンスの授業でいう「Cash is King, Cash Flow is Queen」なんだ! 
日本でも家庭に10万円がふりこまれても、預金をしたままで使わない人が多くなるのではないだろうか?
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追記:2020年4月26日 ゼミのOBから次のようなコメントがありました。なるほどと思いましたので、お知らせします。

アメリカで企業が取引銀行に対して設定したクレジット・ライン(与信枠)には、借り手がEBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)、つまり、税引前利益を一定水準に保たなければいけないという特約(コベナッツ)がついているものが多いそうです。そうなると、EBITDAを近い将来保持できなくなると考えた借り手が、預金枠を使ってお金をか用とするのは当然の行動です。でも、そうやって引き出したキャッシュの使いみちはないので、また、銀行に積み増し手をしているらしい、とのことです。

確かにそうかもしれない。でも、同じ銀行に預金をするのはまずい。デフォルトした時に相殺されるからね。CFOならそのくらい誰でもわかっているだろうが。

こうした解釈ができるとすると、逆に米国企業のクレジットリスクは潜在的には相当だろうと考えざるを得ない。銀行としては手数料丸儲け!

日本の企業のクレジット・ラインの取得状況はどのくらいだろう。確か全銀協の統計があったような気がしますが。


日本のM1 は日銀が公表していますがFEDのデータベースでグラフ化したものをいかに示します。日本の企業と家計は、世界の他の先進国と比べても、異常なほど、現預金を積みましてきました。その傾向は2020年3月頃からさらなる勢いでましています。




=== 以下はちょっとむずかしい話 飛ばしていただいて結構 =======

M1(現預金)への需要がどのように決まるかについては、ケインズが提唱した現金需要には3つの要因を考える必要がるとして、彼の有名な書籍「一般理論」で展開された学説以来、様々な理論と実証研究がある(続く)。


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