スキップしてメイン コンテンツに移動

サブプライム自動車ローンが爆発する

今回の危機はサブプライ以上といわれていますが、それは「影響」の大きさを比べているのであった、リスクの内容は異なっているという議論や主張が多いのですが。本当でしょうか?

サブプライムと同じ意味での信用リスクが5,6月には発生するのではないか危惧しています
以下の図は、NY連銀がまとめた、昨年末まで自動車ローンの90日延滞の金額です。金額データです。90日延滞というのは、それ以上の延滞が続くと「破綻」したとみなされ、銀行は損害を計上する必要があります。
コモディティ図を見ると、自動車ローンの申告な延滞率が、今回のコロナショック前の昨年12月まで急激に増加していることがわかります。




これはFTの記事からですが。

そのタイトルが、自動車サブプライローンリスクの内容を如実にものがたっています。「Yield-crazed investors pile into US subprime car loans」と題するものです。つまり、利回りに「飢えた」投資家がアメリカの”サブプライム”自動車ローンに押し寄せている」ということです。「pile into 」というのは動詞句で、車に一斉に乗り込む、という口語的な表現です。

米国では、2010年代に入ってから、不動産サブプライに懲りた投資家が、
自動車のサブプライムローン投資にのりだしました(米国は車の中古車市場の
取引が大きく、不動産と違い、流動性が高く、デフォルトしても、車を担保にとっておけば、回収ができる!!??)と考えたためだといわれています。

本来は高い車を買えない層が、ウーバーなどと契約をして、日銭商売に乗り出したことも、こうしたサブプライムオートローン市場が盛んになった背景にあるとおもいます。

ところが、今回の危機で、人の行き来が少なくなり、ウーバーの運転手などは
ローンの支払が途絶えることがでてくるでしょう。コロナショック以前に、
上の図のように、延滞率が高くなっているわけですから、抵当に撮った中古車の市場価値は低くなっているはずです。(日本でもタクシー会社では人員整理に乗り出したところがあるようです。2020年4月9日追記)。

そうしたサブプライムローンは、銀行やその他の専門の消費者金融機関は、リスク返事もあり、手元に保有しないで、一部あるいは全部をを証券化して転売しています。大手の投資銀行も積極的に組成にかかわっています、世界中の投資が買っているはずです。

日本の銀行や年金はマイナス金利で痛めつけられていますから、上のFTの論文タイトルにあるように、金利に飢えて、いる所が多数あり、、此等の証券化商品をかっているはずです。銀行の財務諸表をみても、投資項目の詳細な開示はされていないので、よくわからにのですが、今回のパンデミックリスクが続けば、それらが、前回のリーマン・ショックと同様な、爆発するかもしれません。それだけでなく、

リーマンショックのような、証券化リスクの爆発が、
航空機、船舶、商業不動産、自動車ローン、学資ローンの証券化商品で起きるのではないかとおもうのですが、如何でしょうか?

森平 爽一郎

そういう意味では、二番底もあるのでは???

 エピソードで読み解くデリバティブ入門

コメント

このブログの人気の投稿

感染症モデル入門 (3) Excelで感染症 SIRモデルをシミュレーションする

感染症流行をExcelでシミュレーションする(ファイルがダウンロード出来ます)。 1.準備:ファイルのダウンロードをする。 SIRモデルのわかりやすい(つまり最も簡単な)Excelシートを作成した。Excelファイルを用いたシミュレーションは以下の二通りの方法で実行できる。 1.1 「Google スプレッドシート」を用いてオンラインでSIRモデルのシミュレーションを行う 。  オンラインでシミュレーションをする場合には、Google スプレッドシートをつかいます。「 ここ 」をクリックしてください。「感染症数理モデル_入門と応用_森平_2020-05-29」というファイルがGoogle スプレッドシート上で開くはずです。次のような画面を見ることができます。 携帯などから利用していて、通信環境などが良くないときには、オフラインでの実行をおすすめします。>ファイル?オフラインで実行する、とすれば、自分の携帯にダウンロードしてあるGoogle スプレッドシート上でこのプログラムが実行できるはずです。 1.2 Excelファイルとしてダウンロードして、自分のPC上でシミュレーションをおこなう。  Excelシートとして使い時は、上で示したGoogle スプレッドシートのメニュー上で >ファイル>ダウンロード>MicroSoft Excel (.xlsx)  としてファイルをExcelプログラムしてダウンロードしてください。ダウンロードしたファイルを実行すると、次のような画面が現れるはずです。 2.初期値とパラメータ値を設定する。 2.1 Excelのシートで説明しよう。1行目は変数名とパラメー名前である。2行目の薄緑色のセルに具体的な数値を与える必要がある。ここでは次のような値を初期値とパラメータ値として設定している。 1)  感染可能人数の初期値:$S_0=100$人 2)  感染者人数の初期値:$I_0=1$人 3)  回復人数の初期値:$R_0=0$人 4)  感染率:$\beta=0.01$,つまり1パーセント 5)  回復率:$\beta=0.1$,つまり10パーセント (削減率については今回は計算結果に影響の無いようにしている) これらの...

感染症モデル入門 (5) 再生産数Rtとそれに基づくリスク管理

再生産数$R_t$を理解する。 1.再生産数とはなにか? SIRモデルから導出する。 離散的なSIR感染症モデルの2番目の式(2)を次のように変形する。 \begin{eqnarray}   {I_{t + 1}} &=& {I_t} + \beta {S_t}{I_t} - \gamma {I_t} \hfill \label{eqtn:1} \\    \Rightarrow \,\,\,\,\,\,{I_{t + 1}} - {I_t} &=& \left( {\beta {S_t} - \gamma } \right){I_t} \hfill \nonumber \\    \Rightarrow \,\,\,\,\,\,\frac{{{I_{t + 1}} - {I_t}}}{{{I_t}}} &=& \left( {\beta {S_t} - \gamma } \right) \end{eqnarray}  最後の式1の左辺の「感染者数の伸び率」が0を超える(下回る)ことは、感染人数$I_t$が増加(減少)することを意味する。言い換えれば、右辺が、 \[\begin{gathered}   \beta {S_{t}} - \gamma  > 0 \,\,\,\,\,\,\Rightarrow \,\,\,\,\,\,{S_{t}} > \frac{\gamma }{\beta } \hfill \\ \end{gathered} \] であれば、感染者数は増加する。 両辺を $\gamma/\beta$ で割ると, 明日の時点における再生産数を得ることができる。 \begin{equation} \boxed{\,\,{{\bar R}_t} \equiv {S_t}\frac{\beta }{\gamma } > 1\,\,} \end{equation}  これを時点$t$における実行再生産数と呼ぶ。回復人数を示す$R_t$と区別するために、$R$の上にバーを付けて再生産数$\bar{R}_t$としている。この意味について以下で議論する。その前に感染症...

感染症モデル入門: (2) SIRモデル(離散型)の場合。易しいです

感染症モデル入門 (2) SIRモデル(離散型)の場合。易しい! 1.SIR感染症モデル:一日ごとの人数変化  時間間隔が1日という離散的な時間変化を考えると、前回示した微分方程式での記述は、次のような差分方程式に変換できる。 \begin{eqnarray}   \mbox{感染可能人数}  \qquad  {S_{t + 1}} &=& {S_t} - \beta {S_t}{I_t} \hfill \\   \mbox{感染者数} \qquad  {I_{t + 1}} &=&  {I_t} + \beta {S_t}{I_t} - \gamma {I_t} \hfill \\   \mbox{回復人数} \qquad {R_{t + 1}} &=&  {R_t} + \gamma {I_t} \end{eqnarray} これは連続的な時間の変化$dt$を離散的な時間変化$\Delta t$でおきかえたものである。$dt$が「1秒間隔」であったのに対し、$\Delta t$は1日単位と考えてみよう。実際のCOVID-19のデータは1日単位で発表されるので、そのように考えたほうが実際に合っている。  時間経過を1日と考えたのであるから、感染可能人数を$dS_t \approx \Delta S_t$、感染者数を$dI_t \approx \Delta I_t$, 回復者数を$dR_t \approx \Delta R_t$と表現する。これらも1日あたりの人数の変化である。  そうすると、例えば、感染可能人数を示す微分方程式は$\left( {\frac{{\Delta {S_t}}}{{\Delta t}} = \frac{{\Delta {S_t}}}{1} = \Delta {S_t} = {S_{t + 1}} - {S_t}} \right) =  - \beta {S_t}{I_t}$と変換できる。つまり${S_{t + 1}} - {S_t} =  - \beta {S_{t}}{I_{t}}$を得る。...