2020年3月24日の米国市場は、史上「最大の上げ」ということで、まずはホッとした人も多いのかもしれません(空売りしていた人、プットの買いポジションの人は、残念)ですが、そうも言えないとおもいます。サブプライム危機ならぬ「プライム危機」が生じています。プライムとは何かは、以下で説明します。 下に貼り付けた表は、24日の最大の上げ相場に関わらず、値下りをした50銘柄を貼り付けたものである。ここから面白いことが言える。 第1には、医薬品関係の銘柄が多いことである。買われすぎていた関連銘柄を売ろうとしたのかもしれない。ただし、上げ相場の背後要因は、FRBが無制限の量的緩和を行うこと、共和党と民主党の間でまだ揉めているけれどを「ヘリコプターでお金を撒く」ことには合意が成立しそうだ、というのが材料だった。でも、そのことがコロナウィルス感染を止めることにはならないのではないかとおもうのだが。 第2に、最も多く、しかも上位のランク(例えば、10位までのうちに7社)に入っている銘柄は、不動産、とりわけ、USREITsを中心とする不動産証券化商品を取り扱っている銘柄が多いことである。下の図表で企業名の背景がピンク色のものがそれらである。 不動産証券化商品というと、サブプライム危機を思い出し、さの再来と思うかもしれないが、これらの会社が取り扱っているのは、多くは、プライム不動産証券化商品である。 プライムかサブプライという区別を厳密にすることは難しいが、ざっくり言って、プライム不動産は、暗黙の政府保証があると言われている、1)ファニーメイ、2)フレディ. マック、3)ジニーメイ(政府機関である「米国政府抵当金庫」)の3社がその証券化にあたって取り扱う、信用度の高い不動産である。 他方で、 米連邦準備理事会(FRB)は23日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて、米国国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ量を当面「無制限!」とする、これまでにない「異次元量的緩和」に踏み切った。 つまり、MBSの買取を無制限にすると言いながら、かつ、市場はこれまでの最大の上げにもかかわらず、不動産証券化商品を取り扱う多くの上場企業の株価の強烈な下げが起きているのである。 85%も一日で株価が下がったMFAファイナンシャルのように、倒産の瀬戸際まで来て、一株4...
COVID-19によるパンデミックリスクをファイナンス理論や保険経済学の立場から考えていきます。コロナショックが資本市場や企業財務にどの様な影響をあたえたのか、どのように立ち向かったのかを考えていきます。